WEB MAGAZINE
2015年11月
NDロードスター NR-A 試乗 インプレッション『NDロードスターの本命登場!』
新型NDロードスターNR-Aに試乗した。
(写真はNR-Aレースバージョン アークティックホワイト。ロールバー(14万9040円)、ロールバープロテクター(7992円)、けん引フック(前後各1万800円)、ブリッド製バケットシートはオプション)
2015年5月にNDロードスター試乗記『ND新時代の到来』を書いてから4ヶ月。9月のメディア4耐レース会場で早くもNR-Aグレード追加の発表と展示があり、マツダロードスターND NR-Aを研究するを書いた。
新型ND マツダロードスター NR-A(1010kg) 6MT ジェットブラックマイカ
車両本体価格 264万6000円(税抜き245万円)
10月22日に正式発売となったNR-Aの市販バージョンを箱根のワインディングで試乗する機会を得た。
NDプロトタイプに近い低めの車高にシルバーホイールが爽やかなNR-Aのサイドビュー。ボディカラーがブラックのため、ブラックアウトされたピラー、ミラー、ハイマウントストップランプカバーは目立たない。
NR-Aはビルシュタイン社製Cリング車高調整機能付きスポーツタイプダンパーを装備しており、スポーツサスペンションでバネレートもアップ。
写真の試乗車は車高を一番下まで下げた状態(約20mmダウン程度)にセッティング済み。
早速NR-Aのコクピットに乗り込む。試乗車はオプションのアルカンターラが各部に張り込まれていたが、ステアリングスイッチを持たないシンプルな本革ステアリング&ウレタンシフトノブ、ブラックで統一されたエアコンリング、ドアの内側ボディ同色部もブラックのため、落ち着いた大人の雰囲気に癒される。
ファブリックシートはS、Sスペシャルパッケージと同じもの着座位置は低めで座り心地も良好。シートの適度な質感とインパネ周りの質感に統一感があり、ロードスターらしく、ライトウェイトFRスポーツらしい
<やっとしっくり来るNDロードスターに出会えた>
NR-Aは走り出して、第一印象がとても良かった。全域に渡ってこれまでのNDとは異なり、ワンランク上のダイレクト感ある走りを実感できた。ギヤをローに入れて、スタートした瞬間から駆動の伝わり方が気持ち良い。ギヤをシフトアップして加速すれば軽快かつダイレクトな走り感だ。シャシーはソリッドな感覚でステアリングを切ればこれまでのRS、Sスペシャルパッケージ、Sなどとは別次元のシャープな回答性が得られる。やっと歴代モデルに通づるロードスターらしい走りをNDで感じられた。これならばNDを買いたいという従来型のオーナーにもオススメできる。
乗り心地はNR-Aだからといって決してハードなものではなく、『これが標準モデルでよいのでは?』と思うほどだ。段差を乗り越えても瞬時に衝撃を吸収し、フラットな姿勢を保つシャシーのセッティングは絶妙だ。ダンパーのフリクションも感じられないし、NB、NCのNR-Aモデルより良い乗り心地だ。箱根を1日中走っても乗っても筆者にとっては『大きな突き上げ』は感じられなかった。助手席でも『ワクワクする走りの楽しさ』を感じられ、長時間、快適に過ごせたのも印象的だった。FRスポーツ、オープンスポーツを気軽に楽しむ車として、また通勤など日常の足としても最適だと感じられた。
NR-AをNDロードスターのスタンダードと捉えるとそれ以外のNDはホイールベースが長い、2+2のスペシャルティカーだったのではないか?と思えるほど差が大きい。誰にでも扱い易いようにと施されたセッティングだったのかもしれないが、スポーツカーを名乗るのであれば、このNR-Aレベルの機敏さをスタンダードセッティングとし、スポーツモデルには更にスポーティさを求めたいと感じるほどだが、そこはアフターパーツ、チューニングの世界となるのか
<人馬一体の領域に入ったハンドリング>
NR-Aのハンドリングは自然なものとなった。ステアリングを切り込めば素直に反応し、ターンインを始める。クリッピングポイント(イン側によるところ)にスッと狙い通りのラインと姿勢で持っていける。立ち上がりはステアリングを戻しながら、加速。リヤタイヤのグリップ感を確かめながらアクセルを踏み込んでいく。そんな普通の走り、あるいはスポーツドライビングがごくごく自然に行える。
これまでのND(RSも)はコーナー入り口で拳ひとつ分くらいステアリングを切り始めても反応が鈍く、遅れてゆるりとコーナリングを始め、コーナー出口でステアリングを戻しきれないままアウト側まででていき、直線に入ってからステアリングをまっすぐに戻すような動き、すべてがオブラートに包まれ、節度ないハンドリングだった。クリッピングポイントではスポーツカーとしては蛇角もロールも大きく、ブッシュが動くのか、ムズムズとトー変化が大きかった。『乗り心地重視でノーマルだから仕方ないか』と思う一方、リヤの接地圧が路面と関係なく一定しない違和感は拭えなかった。直進安定性が低かったことも大いに不満だった。
ところがNR-Aは違う!高速走行でもしっかり真っ直ぐ走る直進安定性がある。だからコーナーリングもピタリと決まる。スポーツカーというか、クルマにとって非常に重要な基本性能をしっかりと見直ししてきたことがハッキリと感じられる。
ブレーキもいい!効きも良いし、踏み加え、抜きのコントロール性も向上した。
冷却フィン付きデフケース、強化トルセンLSD、ビルシュタインCリング車高調整式スポーツダンパー
大容量ラジエターでスポーツ走行時の冷却性能アップ。フロント サスタワーバー、トンネルブレースバーでボディ補強
<すべてが見直されたNR-Aのメカニズム>
どうしてこれほどまでにNR-Aは進化したのか?
私が大きく進化を感じたのはボディのしっかり感。サスペンションのしっかり感、駆動系のしっかり感だ。
つまりNDはNR-A登場から、全体的に『とてもしっかりとしたクルマ』になった。
まずボディがいい。ボディ補強としてフロント サスタワーバー(ストラットタワーバー、エンジンルーム内のV字型のバー)、トンネルブレースバー(ロワアームバー、フロア下側から見た部分のバー)などが入り、しっかり感が増している。これらは重量増となるが、NR-Aは余計な豪華装備は省かれているので、1010kgと軽量だ。大径ブレーキまで奢って、この重量は立派なものだ。これらの補強によってボディがしっかりしたことでサスペンションがとてもスムーズに動いている。NR-Aはバネレートも上がっているがむしろSスペシャルパッケージより柔らかくしなやかに感じるほどだ。ND発売から僅か5ヶ月でこの改良はこれまでにロードスターを買ったオーナーはかなり悔しいと思われるが、この補強とNR-Aサスキットの装着は流用候補のひとつとして注目だ。
そしてもうひとつ、NR-Aは電動パワーステアリングのセッティングが異なり、よりシャープなものとなっている。この効果も大きい。これも是非、他のモデルにも流用してほしいものだ。
そして駆動系のしっかり感。これはNR-Aが輸出用2.0リットルモデルのものと思われる強化ドライブシャフト&プロペラシャフト、強化トルセンデフ、強化P.P.F(パワープラントフレーム)を採用していることに起因すると思われる。
『そんな僅かな違いがわかるはずもない』と思っていたのだが、RSやSなどと再度乗り比べてみてもこのNR-A試乗車の『駆動系の硬質感』は感じられた。シフトフィールも心なしかカッチリ感が増したように思われた。これだけ質感の高い走りなら、他のモデルにも是非、拡大採用してほしい。
<NR-Aが見せたND熟成の可能性>
NR-AはFRスポーツカーとして、ロードスターをこよなく愛してきたユーザーに『これぞロードスターだ!』と思わせる資質をもったモデルだ。『やっと納得のいくNDロードスターに出会えた』という人もきっと増えるに違いない。
NR-Aは来年度から始まるパーティレースIIIをはじめ、数多くのワンメイクレースなどで活躍する予定だ。イコールコンディションで展開されるレースだけに初期モデルのNR-Aのセッティングレベルには注目していたが、完璧とは言えないまでもひとまず納得いく走りにまとまっていたことにホッとした。このセッティングなら、FRスポーツカーとして、昔からのロードスターファンでも納得するだろう。
しかし、エンジンのアクセルに対するレスポンス遅れだけはまだ残っており、特に街中でよく使用する4000回転以下でのアクセルの『ツキ』と回転落ちに不満が残る。まだまだ熟成してほしいポイントだ。
NR-Aの登場によって、これまでのNDもチューニング次第ではNR-Aに近いシャープな走りを楽しめるであろうことが解った。NDは後退したドライビングポジションや電動パワーステアリングの全車採用など、これまでのロードスターと異なるフィーリングを感じ、歴代ロードスターのように後からのチューニングでは補いきれない部分があるのではないか!?と不安があったが、『チューング次第ではいい車に育つ』ということが今回の試乗で実感出来た。
『NDロードスターをどう育てていくのか!?』
『育てる』とうのはお金をかければよいなど、過保護に甘やかすことが必ずしも良い結果をもたらすことではないのは人もクルマも同じであろう。これから10年、20年、それ以上とロードスターあるいはライトウェイトFRスポーツが生きていくために、何が必要なのだろうか。やはりそれは『基本に忠実な走りとクルマ作り』これにつきると思う。
もし、マツダがその道から外れそうになった時には、時に厳しく、ロードスターに対して率直な意見を述べることも必要だということを我々ユーザーも忘れてはならない。
『ロードスターの未来は世界のライトウェイトFRスポーツの未来に大きな影響を与える』
ちょっと大げさかもしれないが、ロードスターとはそういったベンチマークとなる立ち位置にいるクルマ。
世界に誇るべき『日本の宝』のひとつなのだ。
自動車研究家
出来利弘
NDロードスター研究
2015年3月 NDロードスタープロトタイプ試乗
2015年5月 NDロードスター試乗記『ND新時代の到来』
2015年9月 マツダロードスターND NR-Aを研究する
MAZDA ROADSTER NR-A 公式サイト:http://www.mazda.co.jp/cars/roadster/nr-a/
MAZDA ROADSTER PARTY RACE 公式サイト:http://www.party-race.com
1月10日(日)NB Roadster Meeting ~NBも頑張ろう!〜
想い出に残る楽しいひとときをご一緒しましょう
NBロードスターミーティング in マツダ横浜R&D
日付:2016年1月10日(日曜日)
NB Roadster Meeting 〜 NBも頑張ろう! 〜 in マツダR&D横浜
9時~9時40分
10時~15時
昼前後にお弁当配布
ゲストトークショー開催予定時間:
13時~14時
15時
雪などでイベントを中止せざるを得ない場合は前日の18時までにサイトで告知します。
3,000円(昼食のお弁当付き)
NBロードスター 50台(目標)。定員になり次第、募集を終了いたします。
(当日、オープンギャラリーは改修工事が予定されており、駐車場所は現在未定です。
敷地内、奥の離れた駐車場に停めていただくことになるかもしれません)
NB開発主査:貴島孝雄 氏(現山口東京理科大教授)

予定内容:
ゲストによるトークショー、ゲストをまじえたNBオーナー、ファン同士の交流、集合写真の撮影他。
NBの歴史と特有のメカニズム、メンテナンスについて深く語り合う機会を作って欲しいとの要望が高まり企画されました
協力:
マツダ株式会社、Roadster Club Of Japan
主催:
NB Roadster Meeting 実行委員会(金田、出来、中嶋、横山)(あいうえお順)
参加申し込み方法:『NB Roadster Meeting 参加希望』と書いて
お名前、お電話番号と共に下記、NB ROADSTER CLUB 事務局
E-mail : info@d-technique.co.jp までご連絡ください。
参加申込用紙と詳細案内を返信させていただきます。
24時間以内に必ず返信しております。万一返信がない場合、
なんらかの事情でEメールが届いていない可能性がございますので、
お電話にてご確認ください。
またEメール環境のない方も
TEL 045-590-5121(NB ROADSTER CLUB 事務局 出来)
までお電話いただければ郵送やFAXでも対応させていただきます。
申込受付期間:
11月25日(水)〜12月21日(月)期間内であっても定員になり次第、締め切り
12月18日(金)までで定員に達したために申込を締め切りとさせていただきました。
その後、キャンセルがいくつか出たので調整させていただき、現在満員です。
多数のご参加表明をありがとうございました。
※ご注意ください!!!
事前申込されていない方は、当日お越しいただいても、トークショーはもちろん、それ以外でも
イベント敷地内、及び一般駐車場にも一切入場いただくことは出来ません。
お申込み、お問い合わせ先:
NB ROADSTER CLUB 事務局
NB Roadster Meeting 実行委員
ディーテクニック 出来 利弘まで
info@d-technique.co.jp
告知協力
・MAZDA FUN SITE
http://mazdafan.info/_ct/16918582
NB ROADSTER CLUB
NB ROADSTER CLUB
NBロードスタークラブはNB発売から18年となる2016年の1月設立。
NBロードスターを愛してやまないオーナー同士の交流のきっかけ作り、楽しみの場を提供することを目的に設立。
生産中止から10年、NBをこれからも楽しく乗り続けるためのメンテナンス情報の交換など行っていく。
- 活動内容 ミーティング、ツーリング、走行会、ドラテク練習会などへの積極参加
- 会費 なし(イベント毎に会費制)
- 会員数 98名
- 代表 出来利弘
(代表の出来はNBロードスターは1600SP(NB1)オレンジ、1800(NB2)クリスタルブルー、1600NR-A(NB3)ホワイト、TD-1001R(NB4)グレー、TDレースカー(NB1)レッド、NBロードスター1800RS(NB2)のブラックと5台乗り継いだ)
お問い合わせ、詳細はこちら info@d-technique.co.jp
2016年1月10日(日)NBロードスターミーティング 〜NBも頑張ろう!〜 in マツダR&D横浜 をオーナーやファンのみなさんから熱い要望をいただき、NBの18年のお祝いと共にオーナー同士の交流や情報交換のきっかけの場となればと企画、開催しました。
ゲストにNB開発主査の貴島孝雄 氏(現山口東京理科大教授)を迎え、NBロードスター18歳のお祝いを61台のNBロードスターと85名のみなさんがマツダR&Dセンター横浜に集まり、ゲストとの交流、ファン同士の交流を楽しみ、想い出に残る1日を過ごしました。
ディーテクニック(出来)、金田、横山、中嶋の4名で主催しました。
2018年にはNBロードスター20周年記念ミーティングを開催予定。
※ ディーテクニック主催のイベント内にNB ROADSTER 参加枠を設け、積極的にNBを楽しむ環境を提供したり、
各地NBロードスターオーナーの活動をレポートするなど応援していきます
1998年1月、NBロードスターは抑揚のあるグラマラスなデザインを採用し登場。5ナンバーサイズに納められたボディは初代NAの4輪ダブルウィッシュボーン式サスペンション&シャシーをベースとしながら軽量化、高剛性化が図られた。
1800ccのBPエンジンはNA時代から15馬力アップの145馬力へと進化し、史上初の6MTと組み合わされたNB8CはライトウェイトFRオープンスポーツカーとして理想を追求した。
一方、初代NA6CE以来、途絶えていた1600ccのB6エンジンが5馬力アップの125馬力へと改良を受け、定評のある5MTとの組み合わせでNB6Cとしてラインナップされた。ロードスターが本来もつエントリーモデルとしての親しみ易い走りと価格を提供していた。トルコン式4速ATはよりスムーズに進化。すべてのモデルがNA時代よりも更に扱い易くなり、幅広いユーザーの獲得に貢献した。
2000年7月、ビックマイナーチェンジを行い通称NB2と呼ばれる精悍な表情へとイメージチェンジ。1800ccのBPエンジンは可変バルブタイミング機構S-VTを採用し、160馬力へと進化。RSは更なるボディ補強と大径ブレーキ、ビルシュタインダンパーを標準装備するなど魅力アップ。これらの装備にB6エンジンを搭載したパーティレースなどモータスポーツ参戦ベース車、NR-Aを2001年12月に追加設定。同年にはインターネットカスタマイズ専用車『ウェブチューンドロードスター』を発売し、新たな販売方式を提案した。
2003年10月には史上初の初のクーペモデル、『ロードスタークーペ』を追加設定。12月には初のターボモデル、『ロードスターターボ』を追加、172馬力を誇った。
2004年10月にはロードスタークーペをベースとしたオートバックスのコンプリートカー『mm1』、NB6Cをベースとしたディーテクニックのコンプリートカー『TD-1001R』が登場するなどモデル末期まで多彩な話題を提供し続けた。
2005年8月、NBはその生涯に幕を降ろした。生産期間は約7年8ヶ月。
同時にそれは初代NAより16年間続いた名作の専用シャシーと名機 B6、BPエンジンの絶版を意味するものでもあった。
『NBに乗らずしてライトウェイトスポーツカーは語れない』
安価で親しみ易く、誰にでも買える、手頃なサイズのFRスポーツ・・・
NBはライトウェイトFRスポーツの『走りの真髄』を次世代へと伝え続けている
2016年1月10日(日)NBロードスターミーティング 〜NBも頑張ろう!〜 in マツダR&D横浜
http://www.d-technique.co.jp/magazine/2016/01/-20-nb-roadster-club.php
2018年1月21日(日)NB Roadster 20th Anniversary Meeting in マツダR&D横浜を開催しました。
http://www.d-technique.co.jp/magazine/2018/01/121nb-roadster-20th-anniversary-meeting-in-rd.php
2016年1月10日(日)NB ロードスターミーティング開催を検討中
2016年1月10日(日)NB ロードスターのオーナーズミーティング開催を検討しています。
NBオーナーのみなさんから、熱い要望があり、情報交換の場として企画検討することになりました。
日程は1月8日がNBロードスターの発売日、NB生誕から18年目の誕生日となることから近い日曜日です。
開催場所は神奈川県横浜市近郊、内容については近日告知したいと思います。
「興味がある。参加検討したい、こんな場所、こんな内容でやってほしい」などNBオーナー、NBファンのみなさんからのご意見をお待ちしております。
下記のメールアドレスまでお気軽にご意見、ご希望、お問い合わせをください。
info@d-technique.co.jp
ディーテクニック
出来利弘